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オートクチュール界で最大の刺繍工房"ルサージュ"
アメリカ進出は1980年代に本格化
1948年、メゾン・ルサージュは、満を持してハリウッドに進出します。アルベールの息子であるフランソワが、サンセット大通りにアトリエを構え、父のサンプルをもとにクチュリエや映画スタジオに作品を収めました。しかし翌年、アルベールが他界、フランソワは急遽パリに戻り、父の跡を継ぐことになります。そしてディオール、バルマン、バレンシアガなど、モード界の新たな大御所たちにアトリエを開放し、共に歩んでいくことになります。
70年代以降はジバンシー、クリスチャン・ディオール、シュレルのコレクションにも参加。こうして刺繍職人たちの腕も、そしてラベルの付いた例の箱の中身も充実の一途をたどることになるのです。

そして80年代初頭に、アメリカのモード界へ本格進出。カルバン・クライン、ビル・ブラス、ジェフリー・ビーン、オスカー・デ・ラレンタなどを新たな取引先として獲得しました。
Yves Sanlnt Laurent-1988
伝統の上に、さらなる創造を重ねて
オートクチュールのショーが開催されるたびに、フランソワ・ルサージュ率いるデザイナーと刺繍職人のチームは、約100点の新作を披露します。ファッションデザイナーたちは、伝統ある4万点のサンプル以外にも、これら新作からもインスピレーションを得ることができるのです。さらに、店にストックしてある19世紀のジェット(黒玉)、虹色の水晶、スタッド、人造宝石、(狂乱の年代と呼ばれた)1920年代のガラス玉など、総勢60トンを超える小物などもインスピレーションの源泉となります。
オートクチュールの世界において、ルサージュの手がける刺繍芸術は、金銭には替えがたい極めて高貴な一面を垣間見せます。ルサージュの豊かな発想と品質は、もはや刺繍職人という言葉が表す技の枠内には納まりきりません。流行や限界を超越した世界が、そこにはあるのです。
近年、ルサージュを取り巻く出来事のなかでもっとも重要なものは、1992年のルサージュ刺繍学校の開校でしょう。第一次湾岸戦争が勃発して世界情勢が緊迫の度合いを高めていたとき、フランソワ・ルサージュは彼と職人たちが誇る素晴らしい刺繍技術が失われることを危惧しました。そして、彼を刺繍の世界へと突き動かしてきた情熱を伝えるために学校を開いたのです。
パリ9区、グランジュ=バテリエール通り13番地のアトリエに併設された学校には世界中から生徒たちが集まり、刺繍技術を学んでいます。プロ養成と銘打たれたコースには、ファッションとインテリアというふたつのサブコースが併設されています。開校から現在にいたるまで、この学校で学んだ生徒はすでに1400名以上。ルサージュはクチュリエの顧客たちを通して世界中に素晴らしい夢を提供するため、伝統の技と刺繍にかける情熱を、今も伝え続けているのです。
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