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Peugeot Technical Tips
Peugeot Technical Tipsでは、プジョーにまつわるテクニカル情報をお伝えします。
猫足
続いて飯島は、407のリアサスペンションについて解説する。
「407のリアサスペンションは、プジョーがこだわり抜いた逸品です。ダンパーを寝かせることでトランクスペースへの影響を最小限にしているというのは広く知られています。しかし、他にもさまざまな工夫がなされているのです」
407のリアサスペンションは、アブソーバも内部に組み込んだ一体型。中央部の材質の違いは、金属固有の“しなり”を生かして最適なサスペンション特性にするためだ。

「最大の特徴は、上下挙動が操舵の操作力にまったく影響しないという点と、サスペンションパーツの素材が複数使われているということです。ドイツ車などでは“オールアルミ”で先進性を謳うのが流行ですが、プジョーは違います。軽量化すべきところは鍛造アルミを使いますが、ある程度の“柔軟性”や“静粛性”があったほうが乗り心地や操作性に好影響を与えるパーツにはあえて鍛鋼を使っています。鍛造アルミは軽くて強い反面、そうした“柔軟性” や“静粛性”に欠けるところがあるんですよ」

「こうした素材面の工夫は、他のモデルでも同様です。もちろん中には407ほどのコストがかけられないベーシックカーもありますが、そうしたモデルでもブッシュの材質や設計など、コストがそれほどかからないパーツに工夫を凝らすことによって乗り味を演出しています。手間のかけ方では、たぶん他社の同セグメントのクルマ以上のものがあるでしょう」

ただ、こうしたプジョー伝統の“猫足”も、時代の要請で少しずつ変化を続けているという。
「やはり自動車市場のグローバル化が大きな要因です。かつてプジョーも仕向地ごとにサスペンションの特性を変えていた時期もありました。それがモデルやグレードごとの違いになり、そして現在は全体的に“やや固めの味”になってきました」
しかし、飯島は“プジョーがドイツ車的になっていくのか?”という問いには、大きくかぶりを振った。
“オールアルミ”にこだわるドイツ車とプジョーは一線を画し、鉄や鋳鉄など、従来からある素材も活用する。それは“適材適所”にこだわる姿勢を表していると飯島は語る。

「これまでの“猫足”が、職人芸的な工夫による演出だとすれば、今後の“猫足”はデジタル的な要素を採り入れたものになっていきます。それでもプジョーらしさを残しながら。現行モデルでも、トラクションコントロール(ASR)のセッティングなどにその傾向を強く感じます。ドイツ車ではトラクションコントロールの介入があきらかにわかりますが、プジョーはドライバーが気づくか気づかないかの領域でジワリと効くようにセッティングされています。多数のセンサーからの情報を分析し、そのドライバーがスポーツ走行をしているのか、車両が本当にスピンしているのかが判断でき制御できるのです。また、デジタルデバイスを使っても、“味付け”というアナログな部分は長年積み重ねたノウハウがモノを言います。今後さらにグローバル化が進展しても、“プジョーらしさ”は時代の要請を採り入れつつ受け継がれていくと思います。なぜなら、プジョーのクルマづくりのバックボーンにあるのが、“運転していて楽しい”“乗り心地がいい”という、ドライブそのものを楽しめるクルマという思想ですから」

飯島は、“406や306は20世紀の猫足、307や407、そして207は21世紀の猫足”とも表現した。そして308の乗り味は、207の味をより重厚にしたものになりそうだと予測する。今後も進化を続けるプジョーの“猫足”に、ぜひ注目してほしい。
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